大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和25年(う)2644号 判決 1950年9月27日

被告人

渡辺勤

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役十月に処する。

原審における未決勾留日数中百五十日を右本刑に算入する。

原審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

被告人の控訴趣意及び弁護人伊藤幸人の控訴趣意について。

当裁判所は事実の取調として、示談書五通の取調をした上左の通り判断する。

記録を精査すると原判決挙示の証拠によれば、原判示事実は優にこれを認定することができるし、所論のような証拠調に関する訴訟手続の瑕疵はこれを認めることはできないから、事実誤認及び訴訟手続の法令違背に関する所論は失当である。しかしながら當裁判所で取調べた示談書五通によれば被告人は原審判決後、母親並に弁護人を通じ被害者との間に示談し、ある程度の被害弁償をしたことが認められるので、右事情は被告人に有利に参酌できるものであり原審の刑の量定は些か重きに失するから、所論は結局この点において理由があり、原判決は破棄を免れない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例